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サマバケ通信

samabake journal

夫の突然の思いつきから始まった私の農業人生が、 最高に楽しいことになっている件。

小野悦子
写真
都甲ユウタ/小野悦子

男子2人の子育て真っ只中にいる、小野悦子です。明日香村入谷で米作りと野菜作りをしながら、古民家再生に奮闘しています。

 

そんな私ですが、元々は明日香村のお隣、高取町の出身です。明日香村役場に勤める夫も高取町の生まれで地元が一緒なのですが、彼は中学生の時に明日香に引っ越していて、2007年に再会してわずか数ヶ月で結婚。その後、夫の実家の隣に住んで今に至ります。

結婚1年目のある日、夫が突然告げた「えっちゃん!これからは農業やで!田んぼ借りてきたから米作るで!!」という一言から、私の農業人生が始まりました。

 

短大を卒業後、建築設計事務所に就職し、毎日図面を描いてパソコンとばかり向き合ってきた私は、もちろん農業なんてしたこともなく、興味も全くなかったのに、いつの間にか起業までしちゃって、「私農業やってて~」と自己紹介している今日この頃。まさか私が農業をやる日がくるなんて、昔の自分からは想像もつかなくて、自分が一番びっくりしています。

田んぼがある場所は、明日香村でも一番上にある集落の奥明日香入谷大字。夫は、どうせやるなら平地ではなく、水も空気も綺麗な入谷の棚田でやりたかったようです。

もちろん自分たちだけでいきなり田んぼなんてできないので、入谷の水本さんの力を借りながら、夫の友人と共にお米作りをスタート。並行して野菜作りも始めました。

 

手探りの1年目はなんと! 植えたお米はイノシシに全部食べられてしまいました。

 

入谷でお米を作るには、獣対策をバッチリしないといけないのだなと勉強不足を痛感し、翌年再チャレンジして迎えた記念すべき初収穫! 自分たちで作ったお米を初めて食べたときの、あの味と感動は忘れられません。

お米ってこんなに甘くて美味しいの!!今まで私が食べてきたお米はなんだったんだ!

そう思った事を今でもはっきりと思い出せます。

結婚後しばらくは建築事務所で働きながら週末農業を、子どもを産んでからは子育てをしながらゆっくり農業をしていました。20代のピッチピッチの頃は正直、ゆるゆる農業でしたが、年齢を重ねるにつれ、だんだんと気持ちに変化が起きてきます。自分たちで作った物を食べる喜びとおいしさを知ってしまった私は、農業がどんどん楽しくなっていったのでした。

 

私たちが入谷で農業を始めた頃は、荒れた田んぼや畑ばかりでしたが、ここ数年で「植えるところあるかな!?」と思うぐらい、たくさんの方が入谷に魅力に感じ、農業をしに来られるようになりました。米作りも野菜作りも、今ではもう十数年もしてきたのに、毎年やり方を忘れてしまっていて、「こーやったっけ!?」という具合に、みんなで笑いながら作業をしています。

 

2018年からは、奥明日香の源流の水が一番に入る田んぼで、クレソン作りも始めました。

源流から田んぼに水を入れているのですが、距離が50メートルほどあり、水を流している管にゴミが詰まったり水漏れしたりと管理がなかなか大変。クレソンも虫や鹿に食べられてしまったことも何度となくありましたが、源流で育てるクレソンは格別においしいと自画自賛しながら、日々頑張っています。

 

今の私の一番のストレス発散方法は、クレソンが一面に生えているのを見たり、夏はひたすら草刈りしまくったりすること。奥明日香の景色や空気感が好きで、めっちゃ癒されています。

そして、2020年からは入谷で築100年以上歴史をもつ古民家(さるのこしかけ)を入谷の水本さんと共同購入し、自分たちでできる範囲はDIYしながら、入谷に農業をしにきている方々の拠点にしてもらえるよう、古民家再生プロジェクトを始めました。

古民家の改修は、農業仲間たちが手伝ってくれていますが、みんな仕事も農業もしながらなので、なかなか思うようには進んでいません。でも、みんなであーしたいな、こーしたいなと妄想を膨らませながら楽しく取り組んでいます。

2023年には、息子の夏休みの宿題という名目で、みんなで石窯を作りました。昨年のサマバケも、この石窯を使って野菜収穫と窯焼きピザ作りの体験を実施しました。

今後も夏は竹を切るところからやる流しそうめん体験をしたり、古民家にみんなで泊まったり、年末は杵と臼でお餅つきをしたり、海外の方におにぎり作りを体験してもらったり、臨機応変にいろんな体験イベントを開催していきたいなと思っています。

まだまだDIYしがいのある古民家ですが、少しずつ形にはなってきているかなと思いつつ、まずは床を張っちゃいたい!! それが私の、ここ最近の一番の目標です。

新しい家には設備の便利さやデザインなど、もちろんたくさんの良さがあると思いますが、古民家は古さを活かしながら、自分たちで作り上げていく楽しさがあり、これからのことを考えるとワクワクします。今後もたくさんの方が古民家でいろんな体験をし、良い思い出になり、また来たいなと思っていただけるように努力していくつもりです。

 

ちなみに、私たちが古民家を買って拠点を作ったことにより、農業仲間たちが入谷の古民家を購入してくれました。限界集落だったはずの入谷に魅力を感じ、移り住む人も今後どんどんと増えていったらいいなと思います。

米作りも野菜作りも、クレソン作りも古民家再生も、正直全て夫からの提案、夫の思いつきで始めていったことです。なのにいつの間にか楽しくなって、当たり前にやってしまっている自分に日々驚いていますが、これからも楽しく、農業と古民家再生、がんばります!!

▼この寄稿者が開催している体験プログラムはこちら

野菜収穫&窯焼きピザづくり体験
http://samabake-asuka.com/program/903/

寄稿者

writer

小野悦子
Ono Etsuko
十色
高取町出身。2児の母。短大を卒業後、大阪で建築設計事務所に勤めたのち、結婚を機に明日香村へ移り住む。ある日、夫が借りてきた入谷大字の棚田で田んぼと野菜作りを始めたことから農業人生をスタート。現在は2,000平方メートルの田畑を管理している。クレソンに夢中。入谷の古民家を購入し、DIYしながら体験や農業の拠点作りにも取り組んでいる。
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宿泊施設について

ゆったりとした時間が流れる飛鳥での滞在は、あまり急がず、ゆとりのあるスケジュールで過ごすのがおすすめです。村内には20軒ほどの宿泊施設がありますので、ぜひご利用いただき、明日香の朝も体験してみてください。